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調達・購買コラム〜なぜ、もっとコストダウンできないのか〜 業務改革の方法論

第2回

 購買の構造と目的の明確化 〜ソーシング〜経験のノウハウ化〜

購買がソーシングとパーチェシングに区分され、それぞれの目的が異なることを説明したい。購買部門の本来業務はソーシングであり、商品仕様、サービスレベルの定義や改善とそれに基づく業者の選定をすることである。

ソーシングとは、商品仕様や取引条件などの購買の条件を規定し、取引先の選択や交渉によって最も適切な条件を獲得することである。購買に携わる部門の最も重要な業務である。
パーチェシングとは、ソーシングによって得られた規準に沿って実行される日常の購買実務であり、購買全体が基準に沿って実行されるための地道な業務である。
この二つの業務区分があまり意識されていないために発生する混乱が非常に多い。購買の改善に取り組むためには、この業務毎の違いを理解することが大切である。

ソーシングとは、戦略的な価値は低いが財務的に価値のある資源の調達のことである。
購買では、社内のニーズを定義し、取引業者を比較することで自社にとって最適な購買条件を獲得することと言われている。
特にソーシングは大量に購入される商品や購買額の大きな分野で効果を発揮する。ここでは必要とされる商品や分野毎の『条件を整理する力』と『サプライヤを評価する力』が求められる。
『条件を整理する力』とは、要求部署が求める製品の仕様や購買条件を誰が見ても間違いようがないよう整理し、見積要件書とかRFQと言われる条件を指定できる能力である。
購買結果から複数部署のニーズを集約し、条件そのものを大きく定義しなおせることが理想である。例えば、従来は在庫していたが頻度や量が減ったので現場への直接納品に変える、消費量がまとまることで在庫化するなどであり、全社レベルで条件を再定義するようなことである。
購買改善の取り組みが上手くいかないのは、このニーズの再定義段階にあることが多い。つまり、会社がつぶれると言うような危機感がない限り大きな変化を受け入れづらく、社内をひとつにまとめることが難しいのである。これは技術の問題ではなく、関与する人間の感情も大きな原因である。“論理的に正しい”方法論と現場の感情の軋轢である。
また、取り組まれた方には理解いただけると思うが、何を買っているのか正確にはわからない、商品やサービスレベルとサプライヤを切り離して比較できないということもある。特に製造現場においては、本社購買が強制的な導入に踏み切ったものの現場が回らず現場での購買が減らないなど改善が進まないことはその結果である。
この対応には現場の業務を良く知っているメンバー、現場から信頼される人間が参加することがニーズを整理する重要なポイントとなる。現場との乖離を埋めることが大事な要件となる。

『サプライヤを評価する力』とは、商品供給力、サービスレベルなどの視点から、信頼度と対応力の判断をする力である。経営状況、営業や物流体制、取引関係などの条件を総合的に判断することになる。緊急時の即納が求められるものに、海外のサプライヤを選択するようなことはないだろうが、現場でのニーズを十分に咀嚼した判断が必要である。
判断基準は購買物とサービスレベルに大きく関係するため、全国レベルで対応力のあるサプライヤをのぞくと企業や地域によって判断が異なる可能性が高い。

このようなの二つの条件が明確になれば、あとは信頼できるサプライヤに見積もり要件を提示し、結果を比較することになる。最近はオークションなどもあるが、価格比較は今もやられているだろうし、間接材の場合は購買量も単価も小さいことが多いので常に効果が出るとは言いがたい。長期的には一定の視点から継続的な活動として取り組むことが効果を最大化するように思う。
ここまで読まれると判ると思うが、ソーシングは購買業務に携わってきた個人が持っているノウハウの塊である。ただ、個人の経験によって偏りがあったりするのも事実であり、個人の知識を組織の知恵としてどう共有化するかということがポイントである。外部のコンサルタントによって、考え方や手法を整理しなおすことは有効な手段となる。
井上 誠 (2005年11月)

バックナンバー
第1回
購買管理の必要性と現実
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第2回
購買の構造と目的の明確化 〜ソーシング
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第3回
購買の実行と目的の共有〜パーチェシング
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第4回
購買システムの導入時の課題
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第5回
購買管理の必要性と現実
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第6回
ふたつの見える化
〜仕組みとノウハウの一体化
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第7回
内部統制と購買管理
〜総務的なコスト削減を生み出す
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第8回
通信販売と購買システム
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第9回
購買と購買管理の原点
第1回 【決める】購買管理の必要性と現実
第10回
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